ハリ(針・鍼)はなぜ効くのか?鍼灸師が解説!
みなさんこんにちは!
三国ヶ丘鍼灸整骨院の青木です。
今日は鍼はなぜ効くのか、詳しく説明させていただきますね。
当院では治療を受けた当日よりも、翌日、翌々日に
悪いものがスーと抜けていくように身体が軽くなって、
症状が解消した・・・
このようなお話をよくいただきます。
また、経験的に治療直後よりも翌日、
翌々日の状態が更に良くなっているようであれば、
その効果が長続きしやすいという傾向があります。
鍼灸治療の効果は、
私達の身体に本来備わっている調整力・回復力である
自然治癒力を引き出すことによって発現します。
すなわち、
鍼や灸などの手段を用いた治療は、
回復力・調整力を引き出す『きっかけ』です。
痛みが取れる、症状が改善する、
身体が楽になるなどの効果は
治療によって引き出された調整力・回復力が、
働いた『結果』得られるものです。
では具体的に、その回復力・調整力が、
どのように働くのかと言いますと、
その作用のメカニズムはひとつだけはなく、
人に本来備わっている機能が、複数に関連して、
治療効果を引き出していると考えられます。
①鍼治療の効果:血行の改善
鍼治療は、簡単に言えば身体に
ものすごく小さい傷を付ける治療法です。
その「傷」は主に皮膚、筋肉などの組織に付けられます。
身体のどこかに「傷」ができた場合、
それを修復させるための反応して
キズの付いた部分を治す働きをします。
その時に周辺の血流が促進されるなど、
傷の付いた組織が、修復されやすい環境が整えられます。
例えば、コリや痛みの原因となる筋肉の疲労などは、
血行の不良によって慢性化している場合が多いため、
それを改善させるためには、
まず血行を改善させることが有効です。
鍼による傷の修復過程で、ツボ周辺の血行が促進されれば、
血行不良によって慢性化していた筋肉疲労などが改善され、
コリや痛みが楽になることが考えられます。
ひとつの「傷」で、どの程度の範囲の
血行が改善されるかは
個人の体質や状態によって異なります。
また、適切なツボに針を刺すことで、
全身的な血行が促される場合もあります。
まとめると
鍼を刺す→血行が良くなる→悪い状態が改善される
という流れです。
そうなりますと、
「血行を良くするだけなら運動をしたり、
お風呂に入っても血行良くなるわけだし、
それなら、わざわざ鍼を刺さなくてもいいのでは?」
との疑問が湧いてくるかもしれません。
ですので、これに関して鍼治療の特に
優れている点を二つ挙げて説明してみましょう。
まず、一つ目は
ピンポイントに経穴(ツボ)に鍼を刺すということです。
ピンポイントに鍼を刺すということは、
悪い場所の血行を集中して改善できるということです。
また、鍼の深さを調整することで、
血行の悪くなりやすい深部の状態を集中して
改善させることもできます。
次に、二つ目は、
鍼による傷が修復されるまでの間、
血流改善などの治療作用が持続する点です。
個人差はあるものの、平均2~3日は持続します。
よく、針治療を受けた直後よりも、
翌日~3日後の方が症状が楽になったのを
実感できるという報告をいただきますよ。
それは血流改善などの、治療後の反応を受け、
身体の状態が1~2日かけて
整えられていったからだと考えられます。
また、例えばお風呂で温まって血行を良くした場合の効果は
一時的なものになりやすいのですが、
鍼治療の場合、最終的には自分自身の力で
血行が改善した結果、効果が出現します。
そのため鍼による傷が修復され、
直接的な治療反応はストップしても、
その効果は持続しやすいという特徴があります。
ですので、鍼治療は効果の持続と
再発の予防に優れた方法であると考えております。
②針治療の反射的な効果
ですが、少なくとも1~2日の時間が経過しなければ
針治療の効果はまったく現れないのかと言いますと、
そうではありません。
治療が終わって、その場で症状が
すっかり解消されてしまうこともありますし、
少なくともある程度軽減されていることがほとんどです。
その場合、鍼の刺激が神経を介して脊髄や脳に伝わり、
脳や脊髄からの反射的な指令によって、
筋肉の緊張状態などに変化が生じるのではと考えられます。
ただし、必ずしもその反射が鍼の「痛み」によって
引き起こされるとは限らず、
ほとんど痛みを感じない様な針の刺し方でも、
何らかの形で刺激が伝えられ、反射的な作用が生じます。
治療によってこの反射的な作用を引き出すことができた場合、
治療直後の感じは良好に思えるのですが、
場合によっては2~3日後には
元の治療前の状態に戻ってしまうこともあります。
これは先に説明した鍼治療による
血流改善の作用が十分に働かず、
筋肉疲労などの実体部の回復が
不十分に終わったことが、理由として考えられます。
なので、治療をした部位の軽くなった感じなど、
治療直後の状態・感覚も重要ですが、
継続した治療効果を望むなら、
やはり治療翌日~3日後位の状態を重視した方が良いと思います。